特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネットについて

私たちの法人「特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネット」のご紹介をいたします。

目次

特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネットの設立、そしてこれから

特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネットを設立するに至った経緯と、今後についてお話をします。

1.法人の設立

長い間のボランティア活動を通して得たものは、「命」「財産」「人権」を守るという目標と、「逃げない」という覚悟と、そして「仲間たち」だったと思うのです。
当時30年近い活動のうちに、ことさら逃げないツワモノが「盲ろう者」の支援に結集していました。

「盲ろう者」には、通訳と介助の両方が必要です。
「もうどうしようもない切羽詰まったとき、誰かが傍にいないと大変なことになる」という場面を多く見てきました。
「やさしさは、具体的なノウハウあってこそ」と、長い間に培った力量と仲間の輪は、滅多にギブアップを言わない集団を育てていました。

それで「どうしようも無くなったとき、24時間いつでも誰かが居てくれる家」を作るために、このメンバーを中心にNPO法人を立ち上げたのです。

2.待っている家の開業

メンバーの多くは、看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、保育士、ヘルパーなどの有資格者でした。
我々の開業は平成16年10月ですから、介護保険の「通所介護」を職員への報酬の根拠にしようという皮算用も夢ではなかったのでした。

市から家も賃借でき、「夢ゆめハウス」が徐々に居場所となっていくように思われた準備中に、16号台風で胸まで浸水した家から全盲の姉妹が避難してきました。
ちょうど居場所探しに来ていて風が強くなり、帰れなくなった見学のお年寄りと、3人の暮らしがそのまま始まってしまいました。
夏休みの子どもの託児も受けていたので、年寄り、障がい者、子どもが揃って、これこそ私たちの「夢ゆめハウス」というような、うれしい始まりになっていました。

そして、10月1日、介護保険の通所介護事業所としての出発です。
設立の発想からして緊急保護の受け皿になれることは本望でありましたが、実際に開業当日から、大変な方が行政の担当者によって送り込まれてきました。

脳には梗塞のあとも浮腫も萎縮もある、だからとても症状の複雑な、かたときも目を離せない方でした。
おかげでスタッフみんな、後にどんな方が来られても怯まないで居られる心構えができたと思います。
まさに神様から開業のはなむけに贈られてきたのだと思われました。

3.「小規模多機能型居宅介護」の制度に乗れない我が家の特殊性

前述のほかにも緊急保護の性格の強いケースが続いています。

・介護者の急死で葬式の済んだその夜、介護保険の審査待ちの間だけと言って認知症の方が送られてくる。
・ショートが一杯で急遽自主事業のお泊りで送られてくる。
・いつも行っているデイサービスの事業所が休みだからと、ある日曜日だけ送られてくる。

これら緊急の場面をお手伝いするためには、登録し囲い込んだ人だけを対象にする小規模多機能型の制度では難しいようです。

また、NPO法人として設立し、多くの皆さんに応援していただいているのでもあり、今までのボランティアとしての習性もあり、不採算なことも自分たちで納得すればやってしまいます。
安否確認、安価なお泊りなど、制度にこだわらずやっています。

4.さらに楽しい、地域貢献のスペースを

ログハウスを建てたり、厨房を増築しました。
この新しいスペースは、地域のボランティアの皆さんのお力も借り、予想以上の有効な使い方をしていただいています。

例えば、福祉喫茶の開業、自主デイサービス、パソコン教室、会議などで、みんなの居場所になっています。

5.たくさんの小さな喜びと学び

大きな失敗や誤算をしながらも、だからこそ小さな喜びに目を輝かせることができます。

・認知症の重くなった方に抱かれた赤ちゃんが、こちらに向かって「バイバイ」と手を振りました。何の不安もないほどに良い抱っこなのだとわかりました。

・その人の「散歩」に付き合って草むらの中にも入って行くと「危ないぞ」と心配してくれました。滅多に発語の無い方なのに。

・家に爆弾が仕掛けられているという妄想から冬に野宿していた方が、行政担当者3人に抱えられて来た夜から、ぴったり布団をくっつけて爆弾からお守りする寄り添いが続きました。老健入所の日には泣いて別れを惜しんでくれ、ここで命が助かっ
たと言ってくれました。

・病み上がりで笑顔のない方に、最高齢のおばあちゃんは般若心経を朗々と唱え、全盲の方は手を取って歌いました。そのうち笑顔が見えるようになりました。一緒に暮らす皆さんの力量が「薬」になったのを見て、スタッフも負けていられないと思
いました。

こうやって始まった、私たちの活動も16年目を迎え、世界の情勢に敏感な仲間たちとさらにつながり、ボランティア仲間や多くの皆様方のお力添えで、前進しています。

今後とも、みんなで一緒に、世界中のみんなの笑顔のために、邁進していきたいと思います。

令和元年12月16日
特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネット
理事長 池田美枝子

特定非営利活動法人おかやま多機能サポートネット貸借対照表一覧について

貸借対照表については以下に記載しております。

令和5年度貸借対照表

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